コルグ
坂巻 匡彦は2004年から2017年まで、コルグ(KORG)で商品企画とプロダクトデザインに携わった。プロダクトデザイナーとして入社し、製品の姿を描く仕事から、何をつくるかを考える商品企画へと活動を広げる。演奏する人と道具の接点を考え、電子楽器の企画、開発との協働、デザインのマネジメントを担った。
KAOSSILATORの企画で見つめたのは、作曲や演奏のどこに楽しさがあるかという問いだ。楽器を音の出る道具としてだけ捉えず、演奏を楽しむ体験として構想する。自身もPCを使ったライブやMax/MSPによる楽器づくりを続けており、使う人の経験から製品のあり方を考える姿勢が、商品企画へつながっている。
商品企画とプロダクトデザインを担当した製品には、ZERO8、nanoKEY2/nanoPAD2/nanoKONTROL2、SQ-1がある。音声とMIDIを一つの操作面で扱うコンソール、PCの前に並べる小さなコントローラー、楽器をつなぐシーケンサー。扱う音や用途は異なるが、操作と体験の接点を具体的な製品へ落とし込んできた。2014年4月からは商品企画室室長兼デザイン課課長として、企画とデザインを統括した。
回路図を公開する取り組みも、その活動の広がりを示す。製品を買って使う人に、内部の仕組みを知り、改造へ進める情報を渡す。楽器づくりの専門知識をメーカーの中だけに閉じず、使い手が新たな使い方を考える余地を設ける試みだ。操作の入口を簡単にすることと、理解した先で深く関われること。その両方を、製品と周辺の情報を通して支えてきた。
littleBits Synth Kitの共同開発では、自らlittleBitsへ連絡したことから協業が始まった。電子モジュールを磁石でつなぎ、使い手が楽器を組み立てる体験を届ける。楽器を使うことから、楽器をつくることへ。製品単体の造形を越えた仕事と協働の経験を経て、2017年に電通へ移り、事業やサービスのデザインへ活動を広げた。