littleBits x KORG Synth Kit
音を作る回路を、手で並べ替えられる部品にする。littleBits Synth Kitは、littleBitsとKORGが共同開発したシンセサイザー・キットだ。坂巻はAyah Bdeirとともに企画を担当。磁石でつながるモジュールを組み合わせ、発音と音の加工をひとつずつ試せる。
オシレーター、鍵盤、シーケンサー、フィルターなどは、それぞれ異なる働きを持つ。接続を変えると音の関係も変わり、楽器の構造が手元に現れる。音を聴くことと、仕組みを組むことが近い。完成した操作盤を覚えるだけでなく、自分で演奏のための配置を作る楽しみがある。
磁石による接続は、電子楽器に触れる時の最初の難所を変える。はんだ付けや複雑な配線の前に、部品をつないで音を聴けるからだ。発振器が音を生み、フィルターが響きを変え、シーケンサーが繰り返しの動きを与える。それぞれの働きを別の部品として手元へ置くと、完成品のパネルではひとまとまりに見えていた機能が、関係のある要素として見えてくる。接続の変更そのものが、小さな実験になる。
キットの自由度は、音楽経験の違いも受け止める。モジュールを組み合わせる構成なら、まず発音する部品と聴くための部品から始め、次に音を変える機能を加えられる。慣れた人は、各部品が全体へどう影響するかを考えながら別のつなぎ方を試せる。用意された曲を上手に弾くことに限らず、演奏する装置自体を考えることも活動になる。音楽と電子工作の境界に、同じ部品を違う理解の深さで扱える余地を作った。
littleBits Synth Kitは、企画と開発を担うチームが協働して生み出した電子楽器キットだ。グッドデザイン賞の公式発表でも、初めて触る人から複雑な構成を試す人まで使える自由度が紹介された。小さな電子部品の連結が、音の仕組みを知る入口にも、独自の楽器を考える素材にもなる。