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kaossilator

指で面をなぞると、音程と音色が一緒に動く。初代KAOSSILATORは、鍵盤を使わずに演奏する電池駆動のシンセサイザーだ。坂巻は商品企画を担当。100種類のサウンドと31種類のスケールを備え、弾きたい音色と使う音階を選び、手のひらの中でフレーズを探る。

横方向が音程、縦方向が音色に対応する。キーとスケールを決めることで、指の位置が音階の中の音へ結び付く。ゲート・アルペジエーターは発音にリズムを与え、なぞる動作へ反復の規則を加える。音を選ぶ知識と指の動きの間に、演奏を助ける仕組みを置いた構成だ。

キーとスケールの設定は、音程を選ぶための知識を、演奏中のすべての指の動きへ要求しない仕組みである。先に使う音の範囲を決めておけば、パッドを滑る位置が、その範囲の音へ結び付く。演奏者は音の上下や動きの速さを聴きながら、フレーズを探れる。音階を限定することは表現を狭めるためではなく、音楽として試し始めるための足場になる。音色の変化も同時に与えられるので、一音の中にも指の動きが残る。

八拍までのループへの重ね録りは、短い演奏を失敗か成功かで終わらせず、次の音と組み合わせる素材にする。ドラムを先に置く場合と、旋律から始める場合では、その後に足したくなる音が違う。ひとつ録るたびに聴く対象が変わり、その変化が次の演奏を促す。複雑な編集画面を持たなくても、音を作って聴き返す循環は始められる。初代KAOSSILATORは、鍵盤を弾けることを入口の条件にせず、音の関係を耳で選びながら演奏へ入る方法を示した。

最大8拍のループ録音へメロディ、ベース、ドラムを重ねると、いま弾いた音が次の演奏の伴奏になる。開発者インタビューでも、パッド演奏と重ね録りの組み合わせが紹介された。指を離して聴き、また触れて音を加える。短い時間の繰り返しが、演奏を始めるきっかけと、続けるための足場を同時に作っている。