volca beats
ドラムの音色を作る作業と、ビートを打ち込む作業を同じ場所で進める。volca beatsは、アナログ回路とPCM音源を組み合わせたリズム・マシンだ。坂巻は商品企画を担当。小さな本体にノブとシーケンサーを並べ、各パートの鳴り方を調整しながら、反復するリズムへ組み立てていく。
構成は6つのアナログ・パートと4つのPCMパート。キック、スネア、タム、ハイハットと、クラップなどの音に異なる方式を使う。音源の仕組みをひとつに統一するのではなく、それぞれの打音を組み合わせる構成だ。打つ順番だけでなく、音の輪郭にも手を入れられる。
アナログとPCMの役割分担には、打楽器をひとつの方式で再現し切るのではなく、それぞれの音を選んで組み合わせる発想がある。キックの響き方とクラップの質感は違い、その差がリズムの中で位置を作る。音量や鳴り方を手元で調整できれば、パターンを打ち直さずにビートの印象を変えられる。ドラムを既成の伴奏として流すのではなく、演奏しながら組み立てる音の集合として捉える構成だ。
Stutterによる連打は、一度入力した打音から細かな反復を作る。一定のパターンへ一時的な密度の変化を加えたり、その動きをビートの一部にしたりできる。Active Stepで再生する区間を変える操作と合わせると、音数と時間の両方からリズムへ介入することになる。四角いステップの列は、完成した楽譜というより、その場で並べ替えられる時間の目盛りである。音源のノブとシーケンサーを隣接させたことが、その即興的な扱いを支えている。
16ステップのシーケンサーはタッチ入力とリアルタイム録音に対応。StutterとActive Stepを使えば、連打を加えたり一部の拍を省いたりできる。開発者の対話で語られるドラム、ベース、和音の3機種構成のうち、リズムを担う一台。繰り返すビートそのものが、演奏する対象になる。