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MS-20 mini

ケーブルを挿し替えると、音の流れが変わる。MS-20 miniは、1978年のMS-20のアナログ回路と操作体系を、原機の86%のサイズで受け継いだシンセサイザーだ。坂巻は商品企画を担当。オリジナルの開発者が監修し、当時の楽器を使って音を探る体験を、小さな本体へ移している。

2基のオシレーターとハイパス/ローパス・フィルターが音の土台を作る。自己発振するフィルターを操作し、パッチ・ケーブルで制御信号の経路を変えると、ノブだけでは得られない組み合わせへ進める。外部信号処理も継承し、外から来た音を回路へ通せる。

ハイパスとローパスの二つのフィルターを直列に扱うと、音の低い成分と高い成分の両側から響きを絞り込める。それぞれを強く働かせた時の振る舞いも、MS-20の音を特徴付ける要素だ。発振器が出す波形を選び、フィルターへ通し、その変化を制御する。パネル上の配置は、音がどこから生まれ、どこで変わるかを考える地図としても機能する。音色を名前から選ぶのとは違う、回路の働きを手掛かりにした探索である。

さらに外部信号を扱うESPによって、シンセサイザーの外にある音も実験の対象になる。鍵盤だけを入口にせず、別の楽器から来た信号を組み込むことで、一台の境界が広がる。縮小した本体に原機の操作体系を残すことは、音色を保存する以上に、使い手が試せる関係を引き継ぐことでもある。復刻されたのはある時代の外観だけではない。ケーブルをつなぎ直し、予想と結果の違いを耳で確かめるという、開かれた音づくりの方法だ。

MIDI入力とUSB端子を加え、現代の制作機器とも接続できる。坂巻は復刻についてのインタビューで、使われ続ける楽器を若い人にも入手できる形で提供する考えを説明した。過去の回路を眺める対象としてではなく、自分でつなぎ、変化を聴くための道具として再び机へ置く企画である。