RK-100S
鍵盤楽器を肩に掛けると、演奏する身体の位置が変わる。RK-100Sは、木製ボディとスリム鍵盤を備えたキーターだ。坂巻は商品企画を担当。1984年のRK-100の姿を受け継ぎながら、アナログ・モデリング音源を内蔵し、外部音源を使うリモート・キーボードから構成を変えている。
大小2つのリボン・コントローラーは、鍵盤を弾く以外の手の動きを演奏へ取り込む。音程や音色を動かす面がボディに設けられ、指の滑りが響きに反映される。アルペジエーターやボコーダーも備え、反復するフレーズや声を使った表現へ演奏を広げられる。
内蔵音源を持つ構成により、肩に掛けた鍵盤の役割は、離れた音源へ演奏情報を送ることだけにとどまらない。弾く場所と音色を生む回路が同じボディにまとまり、リボンで音へ触れる操作もその場で完結する。固定されたスタンドの前に立つ鍵盤演奏とは、手が届く位置や身体の向きが異なる。そうした条件に合わせて演奏手段を配置することは、外形を持ち運びやすくする以上の意味を持つ。
二つのリボンとフェイバリット機能を組み合わせれば、あらかじめ選んだ音色を呼び出し、弾きながら変化させる流れを作れる。鍵盤は音程を区切って選ぶ場所であり、リボンは指を滑らせて連続した変化を与える場所になる。性格の異なる二つの入力が、ひとつのフレーズに関わるのだ。声を使うボコーダーや反復を生むアルペジエーターも含め、演奏を鍵盤の上だけに限定しない。身体と楽器の関係を、ステージの空間へ広げたモデルである。
フェイバリット・ボタンには、使いたい音色を登録して呼び出せる。持って弾く楽器では、音色へたどり着く操作も演奏中の動作の一部になる。木製の形、スリム鍵盤、触れるリボンを同じ身体で扱いながら、旋律と音の変化を組み立てる。ステージ上の動きと操作の配置を結び付ける鍵盤楽器だ。