千葉大学 (全7回)
坂巻 匡彦が母校・千葉大学で継続して担当する、全7回のデザインの講義。商品企画とデザインの実務を背景に、アイデアを形にし、試し、考えを深める学びに取り組んでいる。意匠展の卒業生インタビューでは、実際に授業を受けた学生が聞き手を務め、非常勤講師として坂巻を紹介している。
その取り組みの一例が、電通報の本人寄稿で紹介された授業だ。最初から優れたコンセプトを決めようとするのではなく、まず試作品をつくる。手を動かして初めて分かったことを毎週共有し、その発見を次の案へつなげていく。頭の中だけで筋道を整える時間に、素材や動きに触れて考える時間を加える方法である。
ここでのプロトタイピングは、完成したアイデアを模型に置き換える作業にとどまらない。試してみた反応が、当初の見通しを変えることもある。その違いに気づき、もう一度つくり直すことで、自分の経験に根ざした着想が生まれる。試作品そのものだけでなく、そこから何を見つけたのかを伝えることが、制作の中心に置かれている。
この考え方の背景には、電子楽器の企画・開発で得た経験がある。仕様や機能の説明だけでは、触ったときの楽しさや演奏の感触を確かめきれない。実物を試すことで、言葉では見落としていた価値が見えてくる。学生が自分の手で確かめ、発見を積み重ねる授業は、こうした実務上の問いとつながっている。
一方、意匠展の対話では、坂巻はデザインを複数ある手法の一つとして語る。新しい視点を見つける力を大切にしながら、目的に応じて論理的な検討やマーケティングの視点も組み合わせる。形を考える仕事から商品企画、事業へと活動を広げてきた経験は、学生にとって、学んでいるデザインが社会でどう使われるかを考える手掛かりになる。