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東京大学 講義(全7回)

頭の中のアイデアを、触れられる形へ変える。坂巻は2015年9月から東京大学で全7回の講義を担当した。2015年から非常勤講師を務め、工学の教育にデザインと試作の実践をつなぐ活動に取り組んでいる。

2021年度「動機付けプロジェクト」では、PSIコースのインダストリアルデザイン課題を青山和浩、青木史郎、坂巻が担当。シラバスはデザイン思考を起点に、試作、評価、改良を重ねる計画を示す。財布の設計からCAD、デザインレビュー、最終発表までを配置した。

2021年度の授業では、設計を頭の中で完成させた答えを図面へ写すだけの作業として扱わない。財布という身近な道具を考え、形を表し、他者からの評価を受けて修正する。その過程には、使う人にとっての意味と、実際につくるための条件を行き来する時間がある。CADによる表現とレビューを同じ計画に置くことで、形を描く技能と、形を判断する視点が結びつく。

デザイン思考も、ひとつの発想法で完結するものではない。Stanford d.schoolの教材は、人を理解し、問いを定め、案を出し、試作し、試す活動を扱う。そこで試作品は、他者から反応を受け取るための共通の対象になる。説明では伝わったつもりの案も、実物を前にすると別の質問を生む。試作と評価を行き来することで、まだ言葉だけでは捉えにくい違いを、具体的な判断へ変えていく。

東京大学での教育活動では、アイデアを形にするデザインと、形を通じて考えを確かめる試作が結びついている。一方、2021年度の計画では、プロトタイピングが発想と検証をつなぐ役割を持つ。形にすれば、言葉だけでは通り過ぎる違いも確かめられる。案をつくり、評価し、改良する。工学部の教育に置かれたその往復は、デザインを発想の技法だけでなく、判断を重ねる実践として扱っている。