monologue
鍵盤の間にある音程の幅まで、音づくりの材料にする。monologueは、25鍵のモノフォニック・アナログ・シンセサイザーだ。坂巻は製品開発に参加。2基のオシレーター、フィルター、ドライブ回路による単音の響きに、保存とシーケンス、音律の設定を組み合わせている。
16ステップのシーケンサーは音符とノブ操作を記録する。ベースやリードのフレーズを回しながら音色を変え、その動きも再生へ取り込める。マイクロチューニングは、一般的な音階の間隔からさらに踏み込み、鍵盤の音程関係そのものを組み替えるための機能だ。
マイクロチューニングによる音律の変更は、音色の調整とは別の階層へ演奏者を招く。フィルターで明るさを変えるのではなく、隣り合う鍵盤がどれだけ離れた高さで鳴るかを変えるからだ。いつもの運指でも音程の関係が変われば、フレーズの緊張や着地の感覚は違ってくる。小型の単音シンセサイザーにこの機能を持たせたことは、和音の数を増やす以外にも、音楽の可能性を広げる方法があることを示している。
音符とノブの動きを記録するシーケンサーは、その違いを繰り返し聴くための手段になる。同じパターンを鳴らし、音律や音色を変えれば、どの操作が響きへ影響したのかを比較しやすい。二基の発振器とドライブ回路が作る質感に、音の間隔と時間的な変化が重なる。Aphex Twinによる音律への助言も、アーティストの名前を添えるだけでなく、楽器の調整できる範囲へ関わる参加だった。演奏する人の探究を、音色から音程の仕組みへ開いた製品である。
Aphex Twinが音律のアドバイザーとして参加し、音色やシーケンスも提供した。坂巻の署名による寄稿には、開発中に触れたアーティストの音づくりが紹介されている。電池駆動できる小型の楽器に、音色の調整と音程の探究が同居する。一音ずつの演奏でも、響き方だけでなく音と音の距離まで変えられる構成である。