ひと指で生まれるフレーズを、複数のループへ育てる。KAOSSILATOR PROは、タッチ演奏を4つの録音バンクへ展開したシンセサイザーだ。坂巻は商品企画を担当。200種類のプログラムと31種類のスケールを備え、音色と音階を選び、指の位置から旋律を作り始める。
パッドの横方向が音程、縦方向が音色に対応する。ゲート・アルペジエーターで発音へリズムを付け、触れる位置と時間の組み合わせを演奏する。4つのループ・バンクでは重ね録りに加え、再生やミュート、音量と長さの調整ができる。短いフレーズを残しながら、次の音を加える場所を選べる構成だ。
四つのループ・バンクを持つことは、音を重ねるだけでなく、録った素材を分担して使えることを意味する。あるバンクをリズムの土台にし、別のバンクに旋律を残せば、ミュートや音量を変えることで構成へ手を入れられる。録音済みのパターンは完成した結果というより、次の演奏の材料になる。指で音程を動かす時間と、バンクを操作して全体を組み立てる時間が、一台の中で交互に現れる。
マイク/ライン入力とMIDI同期は、タッチ・パッドの外へ演奏を広げる。内蔵音源で弾いたフレーズに歌やほかの楽器を重ね、別の機器と共通のテンポで鳴らすことができるからだ。自分だけで重ね録りを進める場合にも、誰かの音を取り込む場合にも、同じループの仕組みを使える。SDカードへの保存は、その場で作った組み合わせを持ち越す手段となる。演奏の入口を簡単にするという発想を、外部と関係を作れる制作機へ発展させた製品だ。
マイクやライン入力の録音、MIDI同期、SDカードへの保存にも対応する。自分で弾いたシンセの音へ別の演奏を重ね、ほかの機器とテンポを合わせられる。音を蓄積するループと、外部につながる端子が同居することで、一台の即興が制作や合奏へ続いていく。初代のタッチ演奏を、組み合わせて使う楽器へ広げたモデルである。