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iKaossilator for iPhone

音を出すための面を、いつも持ち歩く画面へ移す。iKaossilator for iPhoneは、KAOSSILATORのタッチ演奏をスマートフォンへ展開した音楽アプリだ。坂巻は商品企画を担当。横方向で音程、縦方向で音色を操作し、キーとスケールを選んでフレーズを作る。

指の動きに連動するビジュアルは、どの位置へ触れ、どのように動かしているかを画面に返す。演奏の操作とその結果が、指と耳と目を通してつながる。最大5パートのループ・シーケンサーへシンセ、ベース、ドラムなどを録音し、繰り返す音に次の演奏を重ねていく。

演奏イベントを記録する方法では、録音した音声の波形を積み重ねる場合と、情報の持ち方が違う。画面上でどのように演奏したかをループとして扱い、その情報に応じて音源が鳴る。この違いは、外見の似た操作でも、スマートフォンならではの楽器を構成できることを示している。ハードウェアのパッドを画面へ描き直すだけではなく、ソフトウェアの中で何を記憶し、どう再生するかまで設計した移植である。

五つのパートを重ねるシーケンサーは、画面に触れる短い行為を、続いていく音楽へ変える。一つのフレーズを入力したら、その反復を聴きながら別のパートを加える。音を重ねる順序によって、次に選びたくなる音色やリズムも変わる。指の動きへ返ってくるビジュアルは、その過程の操作感を支える。日常的に触っているスマートフォンの面が、演奏と記録を繰り返す場所になる。小さな画面の中に、ひとりで音の役割を分担するための構成を作った。

開発者インタビューでは、アプリは演奏イベントを記録し、ハードウェア版は音声を重ねるという違いも説明された。同じタッチ演奏でも、内部の記録方法が異なる楽器である。画面をなぞった動きがループとなり、その再生に再び触れて曲を作る。スマートフォンの操作を、持続する音楽の時間へつなげた製品だ。