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OTOTOY「DSD録音の魅力」

録音方式の価値は、数字だけでは語りきれない。2012年12月22日、渋谷ヒカリエaiiimaのOTOTOY DSD SHOPで、坂巻とbonobosの蔡忠浩がDSD録音の魅力をテーマに対談した。司会は飯田仁一郎。機器をつくる側と、音を録る音楽家が向き合う企画だった。

事前告知は坂巻をKORGのDSDレコーダーMRシリーズのプロデューサーとして紹介する。テーマは録音の魅力、難しさ、可能性。DSDは音を高速な1ビットのデータで扱う方式で、録音と再生の双方から音の扱い方を考える題材になる。

KORGのMRシリーズ解説では、1ビット方式の録音と、音楽制作の最終的な音を残すマスターレコーダーとしての用途が説明されている。録音は演奏をデータへ置き換える行為だが、制作の現場では、何をどのように残したいのかという判断が先にある。数値で表される方式と、演奏者が残したい音の感触を同じ言葉で説明するのは簡単ではない。だからこそ、製品側と音楽家側の対話に意味がある。

会場が配信メディアの期間限定ショップだったことも、この企画を特徴づける。録音機を企画する人、実際に音をつくる人、その音源を聴く人が、一つの場所でつながるからだ。高音質という言葉を紹介するだけなら、方式の説明で終えることもできる。ところが対談の告知は、魅力と同時に難しさや可能性を挙げた。使う経験まで含めて考えることで、DSDはカタログ上の形式名から、音楽を残す方法として話し合う対象へ変わる。

対談は、DSDを聴く体験と、その技術を製品として届ける仕事を結ぶ機会となった。会期中には試聴や公開録音などもあったが、この回はライブ演奏ではなくトーク。録音の魅力だけでなく、難しさも議題に挙げていた点が興味深い。機器の仕様と、実際に音楽を残す経験は、必ずしも同じ言葉で語れない。二人の対話が、その間をつなぐ。期間限定ショップは、音源を聴く場所であると同時に、録る行為を考える場所にもなっていた。