オトトイの学校「カオシレーターから始める音楽の道」(全3回)
指一本で音が出ても、そこから曲にする道はひとつではない。オトトイの学校の「カオシレーターから始める音楽の道」は、Yasushi.Kを主講師に、基本操作からループ制作、他の楽器との演奏へ進む全3回の講座だった。
2013年7月開始の第3期では、kaossilator 2を使い、7月9日、8月6日、9月10日に開講。坂巻は初回のゲスト講師として招かれ、開発者への質問や製品づくりの背景を扱う回に参加した。同年1月に始まった第1期の開講案内にも、初回のゲストとして名前がある。
製品の公式説明では、150種類の音色、スケールやキーの設定、二つのループ録音バンクが紹介されている。鍵盤を押す代わりにパッドへ触れ、音程の範囲を設定し、短い演奏を重ねていく。二つのループを混ぜることもできるため、単音を鳴らすところから曲の展開をつくるところまで、手のひらの中で試せる設計だ。講座が操作からループ、合奏へと進む背景には、こうした製品の性格がある。
内蔵マイクで声や外の音を録音できることも、音楽への入口を広げる。決められた音色を選ぶ行為と、自分の周囲から音を取り入れる行為が同じ楽器に並ぶからだ。教えるYasushi.K、製品を企画する坂巻、これから使う受講者では、同じ機能への問いも異なる。初回に開発者へ質問できる構成は、製品を知る時間を、つくり手と使い手の対話へ変える。操作方法に加えて、なぜその仕組みにしたのかへ近づける講座の入口になっていた。
演奏を教える人と、道具を企画した人が同じ講座に関わる。その組み合わせによって、操作の手順と、その操作が生まれた背景を行き来できる構成になっていた。全3回という数は講座全体のもので、坂巻がすべての回を担当したわけではない。パッドをなぞる演奏と、短い音を重ねて構成するループ。手の動きから曲づくりへ進む過程に、製品をつくる側の視点が加えられた。