明治大学 先端メディアサイエンス学科(全7回)
製品のアイデアを、触れられる形へ変える。2014年9月26日、坂巻は明治大学総合数理学部・先端メディアサイエンス学科で、プロダクトデザインとプロトタイピングを題目とする全7回の講義を始めた。電子楽器の商品企画に携わる実務家として、大学でデザインと試作を扱う教育に参加した。
プロトタイピングとは、考えを試作し、何が機能するかを確かめる行為だ。試作には、見た目、動作、使用状況など、確かめたいものに応じて方法を選ぶ考え方がある。完成品に近づけるほどよいとは限らず、何を知るためにつくるかが重要になる。
試作を考えるうえでは、「動くか」と「使いたくなるか」を分けて確かめる視点も役に立つ。機能の要件を満たした道具でも、手を伸ばす位置や反応のわかり方によって、体験は変わる。試作が力を発揮する場面の一つが、仕様だけでは決めにくい体験の検証だ。楽器であれば、音が出ることに加えて、演奏しているときの感触をどう確かめるかが製品の判断に関わってくる。
試作品の形は、問いによって変えられる。外観を見るならスケッチや模型、操作の流れを見るなら紙の画面や動く仕組み、使う状況を見るなら場面の再現。確かめる対象に合わせて表現の精度を選ぶことが、試作を判断の道具にする。どの方法でも共通するのは、頭の中の予想を他者が確かめられる対象にすることだ。プロダクトデザインとプロトタイピングを並べた講義名には、形の発想から、体験の検証へと続く領域の広がりがある。
試作は、見た目だけでなく、動作や使用状況を確かめるためにも用いられる。デザインと試作を組み合わせることで、発想を具体的な問いとして扱える。画面に描いた形と、手元で確かめられる形には違いがある。実物にすることで、頭の中では通過してしまう問いも生まれる。製品の発想と試作をまとめて扱う全7回は、考えることと形にすることを行き来する題目を、教育の場へ置いた活動だった。