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東京都 実践デザイナー育成講座「デザイン・ツールズ」

形を描く前に、何をつくるのかを決める仕事がある。2010年12月2日、坂巻は東京都の実践デザイナー育成講座デザイン・ツールズで、計画を立てる/商品企画を題目とする講義を担当した。商品企画を、実践的なデザイン教育の一つの題目として扱う講義だった。

商品企画という題目は、見た目の設計だけでは扱いきれない判断を含む。何を確かめ、どの段階で決めるのか。プロトタイピングでは、見た目、動作、使う状況など、確かめたい対象によって試作の方法を選ぶ。企画を実物や体験へ近づけながら検討する、実務上の視点である。

計画には、対象を決めるだけでなく、判断に必要な情報をそろえる仕事が含まれる。利用者の望みを想定しても、その人が実際にどう動くかは、説明だけでは確かめにくい。図面や仕様で比較できることと、触って初めてわかることを分ける視点が役に立つ。坂巻の本人寄稿は、この違いを楽器の開発経験から論じている。機能が成立することに加え、体験が魅力的であるかを試す必要があるという見方だ。

試作を計画に組み込むと、最初の案を固定したまま制作へ渡すのではなく、試した結果を次の判断へ戻せる。見た目だけを確かめたい段階で、全機能を実装する必要はない。逆に、操作の心地よさが問われるときには、外観の模型だけで判断しない。目的に応じて試作を選ぶことが、時間や手間をかける場所を見極める判断につながる。「デザイン・ツールズ」という講座名のもとに商品企画を置くことは、描く技術や表現方法と並んで、仕事の進め方もデザインの道具として考える機会になる。

プロトタイピングは、見た目や動作を手で確かめ、企画の判断を具体化するための方法だ。企画は、最初に立てた案をそのまま完成させる一本道とは限らない。何を確かめれば次の判断ができるかを見定め、計画を具体化していく仕事でもある。この「デザイン・ツールズ」の講義は、実践デザイナーを育てる場に、形の表現以前にある「計画を立てる」という題目を置いていた。