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DSST Program 2011

デザイナーの実務能力を、教育できる言葉へ翻訳する。DSST Program 2011は、そのために日本デザイン振興会と産業技術大学院大学が共同開発・試行した人材育成プログラムだった。坂巻はKORG所属の講師として、公式の講師陣に名を連ねている。

事業は文部科学省の産学連携による実践型人材育成の枠組みで進められた。日本デザイン振興会の開発実績によると、デザインの能力やスキルの水準を示す指標を、教育カリキュラムへつなげる取り組みである。大学、企業、デザイン団体が、実務と教育を一緒に考える構成だった。

公式の開発記録には、京都大学、千葉大学、東京都立工芸高等学校、東芝、日立製作所、三菱電機、日本インダストリアルデザイナー協会などが協力機関として並ぶ。教育機関だけで理想的な人材像を決めるのでも、一社の働き方だけを標準にするのでもない。異なる組織が関わり、現場で必要な能力を共通の指標へ整理しようとする、産学一体の試行だった。

スキルを言葉にすることには、学ぶ側が次に身につけるものを見つけやすくする意味がある。完成品の写真は形を伝えられるが、調査、企画、他部門との調整、試作の判断までは見えにくい。そうした仕事を教育の対象にするには、経験者の勘だけにとどめず、何を行い、どう判断するのかを説明する必要がある。坂巻を含む企業の実務家と大学の研究者が講師として並ぶ構成は、職場と教育の間で通じる言葉を探すためのものだった。

デザインの仕事には、成果物だけを見てもわからない判断がある。何ができれば実務を担えるのかを整理することは、その判断を共有する試みでもある。企業と大学による講師構成は、教育で学ぶことと現場で必要になることを、同じカリキュラムのなかで考える仕組みだ。「デザイン・ツールズ」に続き、坂巻は2011年のDSST Programにも講師として参加。現場の経験を、実務者の育成へつなぐ場に加わった。