西千葉工作室 — デジタルファブリケーション × ??
「×」のあとを、まだ埋めない。2015年7月25日、西千葉工作室で開かれたトークは、デジタルファブリケーション × ??と名づけられた。副題は「これからのものづくりを一緒に考える」。坂巻は、ものづくりの未来を考えるこのトークに登壇した。
デジタルファブリケーションは、コンピューター上のデータを加工機につなぎ、実物をつくる方法だ。レーザー加工や数値制御の切削など、Fab Labの資料でも紹介される技術が含まれる。データと材料をつなぐ道具が広がると、何をつくるかに加え、誰がどこでつくるかも問いになる。
Fab Foundationの資料に登場する加工技術は、デジタルデータを出発点にしながら、最後には現実の材料へ働きかける。画面上で形が成立していても、切る、削る、組み立てる工程では別の条件が現れる。試作を行う場所が身近になると、その条件を確かめて設計へ戻す距離も短くできる。データを扱う能力と、材料に触れて判断する能力が、一つの制作の中で出会う。
ただ、加工できることと、つくるべきものが決まることは同じではない。誰が困っているのか、どんな使い方が面白いのか、手元の材料で何を試したいのか。道具の用途は、使う人の関心や、その場所にある経験との組み合わせから生まれる。西千葉工作室のトーク名に残された疑問符は、技術を別の何かへ結びつける余地を示す。「これからのものづくり」を完成した答えとして説明するよりも、参加者と考える対象にする。その姿勢がタイトルと副題の組み合わせに表れている。
坂巻は、デジタルファブリケーションと新しいものづくりをめぐる、このトークに登壇した。注目したいのは、掛け合わせる相手を空欄にしたタイトルだ。加工機で何ができるかを列挙するだけでは、その先にある用途や価値は決まらない。どの素材、場所、人の経験と結びつけるかによって、同じ道具の使い方も変わり得る。「一緒に考える」という副題は、その余地を参加者へ渡している。技術と別の何かが出会う場への登壇だった。