114

mini kaoss pad 2S

目の前の声や音を録り、指先で変形させ、そのまま演奏へ差し込む。mini kaoss pad 2Sは、タッチ操作のエフェクターにサンプラーを組み合わせた手のひらサイズの機器だ。坂巻は商品企画を担当。100種類のエフェクトを、パッド上の位置や動きで操る。

内蔵マイクやライン入力からのサンプリングに対応し、素材を本体へ取り込める。再生はOne Shot、Gate、Loopの3方式。一度鳴らす、触れている間鳴らす、繰り返すという違いが、同じ録音素材の役割を変える。速度や開始位置の調整も、音を演奏へ合わせる操作になる。

サンプラーの三つの再生方法は、録音をどのような時間として使うかの選択でもある。One Shotは一度の発音、Gateは操作している間の発音、Loopは反復を受け持つ。短い声を合いの手のように差し込む場合と、繰り返す素材として置く場合では、同じ録音でも演奏上の働きが変わる。音を取り込めるだけでなく、出すタイミングと続け方を扱えることが、録音機を演奏の道具へ近づけている。

再生速度と開始位置の調整も、そのつながりを支える。録音に含まれるどの部分を使うか、どの速さで聴かせるかを変えると、元の素材にはなかったリズムが現れる。さらにタッチ・パッドの位置を動かすことで、録った音の質感へ連続的に介入できる。操作した結果をマスター・レコーダーへ残せば、即興は一回限りの出来事で終わらない。小さな操作面に、素材を集める、鳴らす、変える、残すという異なる行為を重ねた製品だ。

電池駆動と内蔵スピーカーにより、録音から音の加工までを小さな本体で試せる。演奏をWAVで残すマスター・レコーダーも搭載。音を採る場と音を使う場を近づけながら、そこで起きた変化を記録する。携帯性は、単に運びやすいだけでなく、素材を見つけた場所で試せることにつながる。