electribe sampler
録った音を素材にし、その素材を演奏しながら作り変える。electribe samplerは、サンプリングとシーケンサーを一体化した制作機だ。坂巻は商品企画を担当。プリセット音や取り込んだサンプルを編集し、ビートやフレーズへ配置する。音の出自が違っても、同じ操作面の上で組み合わせられる。
ノブによるモジュレーションやエフェクト操作で、鳴り方をその場で変えていく。さらにリサンプリングを使えば、加工した音や演奏そのものが次の素材になる。一度の編集で音を決め切る必要はなく、録音と変形を繰り返すたびに、素材の可能性を別の角度から試せる。
サンプルを音源として扱う仕組みでは、最初に録った音が完成形である必要はない。短い打音をリズムに置き、別の素材と重ね、その組み合わせを聴きながら加工する。ひとつの音を単独で評価する時と、曲の中で鳴らす時では、必要な質感が変わる。サンプル編集とシーケンス制作が近くにあることで、その違いを往復しながら調整できる。録音の記録性と、演奏するための可変性が同じ素材の中に共存する。
とりわけリサンプリングは、操作していた音を再び編集の対象へ戻す。エフェクトをかけた結果や、その場で生まれた演奏を取り込み直せば、加工の履歴を含んだ新しい素材になる。元の音源を選び直すだけでは得られない変化を、自分の手で積み重ねる方法だ。音源を増やすことと表現を増やすことは、必ずしも同じではない。手持ちの音にどれだけ別の役割を与えられるかを、パターンの反復を通じて確かめていく。
Ableton Liveへの書き出しは、本体での即興をPC上の編集へ渡す接点となる。ハードウェアでパターンの感触を確かめ、ソフトウェアで展開やミックスを詰める。録音した音を配置するだけでなく、自分の演奏も再び素材として扱う制作の循環が、この一台の中心にある。