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MIKU STOMP

ギターを弾くと、初音ミクが歌い出す。MIKU STOMPは、弦の振動を歌声の演奏へ結び付けるコンパクト・エフェクターだ。坂巻は商品企画を担当。単音入力の音程を読み取り、ギターのフレーズに合わせて声を鳴らす。指板で選んだ音が、言葉を伴う旋律として返ってくる。

中核となるのは、ヤマハのNSX-1を使ったeVocaloid音源。11種類の歌詞パターンを切り替えることで、同じ運指から異なる歌唱を引き出せる。対応するのは一度にひとつの音程なので、和音を一括で歌声へ変える装置とは演奏の組み立てが異なる。

ここで変わるのは、ギターから出る音色だけではない。音程の入力と歌詞の発音が結び付くため、どの弦をいつ鳴らすかという演奏の判断が、歌の組み立てにも関わる。声を録音して再生する場合とは違い、歌う高さを演奏者がその場で選べる。よく知るフレーズを弾いてみることが、歌声合成の仕組みを理解する最初の実験になる。声という身近な音が、いつもの奏法を少し違う視点から聴き直させる。

歌詞を登録するアプリとペダルは、準備と演奏の役割を分けている。日本語の言葉を入力する工程は画面で行い、その言葉に音程とタイミングを与える工程はギターで引き受ける。声のキャラクター、言葉、旋律という異なる要素を、足元の機器でつなぐ構成だ。すべてを一度に自動化するのではなく、演奏する人が関与する余地を、慣れた楽器の側へ置いている。歌声を扱うために、新しい鍵盤の運指から覚え直す必要はない。

専用iPhoneアプリから日本語の歌詞を登録する仕組みも用意された。発音する言葉を決め、弦を弾くタイミングで歌を進める。音を選ぶ身体動作と、ソフトウェアによる歌声合成が足元で出会う。ギタリストがボーカルのフレーズを扱うための、独特な入力方法を持つ楽器である。

出典・関連資料

KORG:MIKU STOMP 製品情報 ↗