Maker Conference Tokyo「Makerフレンドリーな製品をつくる」
メーカーの想定を越えて使われることは、製品にとって何を意味するのか。2013年6月15日、Maker Conference Tokyoは「Makerフレンドリーな製品をつくる」を議題に据えた。坂巻はKORGの商品企画担当として、ローランド ディー.ジー.やIAMASの登壇者と討議した。
主催者資料が掲げたのは、利用者のカスタマイズや創造的な使い方を可能にする開発だ。セッション映像で坂巻は、monotronの改造例や回路図公開の経緯を紹介する。利用者の工夫が、monotron DUOやDELAYを考える刺激にもなったという。
公開をめぐる判断には、技術以外の条件もあった。対談の映像で触れられる社内の相談先を見ると、製品を売る部門、品質を扱う部門、海外で事業を担う組織が関わっている。回路図を渡す行為は、開発者一人の工夫で完結しない。利用者にどこまで情報を開くかという問いは、製品を支える企業の仕事全体へつながる。自作文化を歓迎する製品には、その関係を維持するための組織の判断も含まれる。
利用者による改造が次の製品を考える刺激になると、発想の流れはメーカーから市場へという一方向ではなくなる。monotronの改造例や、DUO、DELAYへつながる話は、その具体例として紹介された。使い手の工夫をそのまま商品へ移したという単純な話ではなく、何が面白がられているかを知る機会にもなる。主催者が掲げた「Makerフレンドリー」は、工具が使える形だけを指すのではない。創造的な使い方が現れたときに、企業がどう応じるかまで含む問いだった。
monotronの小さな回路を介して、つくる側と使う側が互いの発想に反応する。公開に際して営業、品質保証、海外子会社などに相談した経緯も、坂巻は語っている。製品に手を加える余地を支えるには、回路の設計だけでなく、企業のなかで情報をどう扱うかという判断が要る。久保田晃弘が進行する合同セッションは、開かれた製品という問いを、技術と組織の両方へ広げていた。