011

Make your own synth! — HackerspaceSG

電子回路の機能を、手でつながる部品へ置き換える。HackerspaceSGのMake your own synth!で、坂巻 匡彦はlittleBits Synth Kitの組み立てを紹介し、演奏を行った。Engineers.SGの映像は2017年3月12日公開、25分16秒の記録である。

講演では、2012年末の問い合わせから、翌年1月の訪問を経てlittleBitsとの共同開発へ進んだ過程を説明している。初期の仕様検討ではMax/MSPでソフトウェアの試作をつくり、やり取りに使った。手でつなぐ製品の構想を、まず画面の中で試すという往復があった。

littleBits Synth Kitの作品記録が示すのは、オシレーター、キーボード、シーケンサーなどの役割を、磁石でつながる別々の部品にした構成だ。音を生む部分と音を制御する部分が、手で動かせるかたちで現れる。配線を変えれば音や演奏方法も変わるので、機能の名前を覚えることと、耳で違いを確かめることを並行して進められる。

この講演で語られるソフトウェアの試作も、構想を他者へ渡すための道具だった。完成した回路や筐体を待つ前に、どう動いてほしいかを試せるものとして共有する。講演の中で開発の経緯と実物の組み立てが続いていることからは、最初の問いがどのように手で扱う製品へ変わったかを追える。楽器の仕組みを説明すること、実際につなぐこと、できた音を演奏すること。その順序が、開発者の知識を聴き手の体験へ近づけている。

少数のモジュールから始め、理解に応じて構成を増やす。講演で紹介したこの組み立て方では、最初から複雑な回路を理解する必要はない。音が出たところから、次の部品の働きを試してみる。小さな操作を重ねることが、さらに先の構成へ進むための学びになる。