077

littleBits ワークショップ @自由大学「D.I.Y. ミュージック」

音楽をつくる入口は、演奏技術だけではない。自由大学のDIYミュージックでは、受講者が考えた楽器のアイデアと、市販の電子楽器を実際に鳴らす体験が隣り合った。坂巻はKORGで電子楽器の商品企画に携わるゲストとして、この講座に参加した。

登場するのはkaossilator、volca、そしてlittleBitsのSynth Kit。受講者は自作の楽器案を発表したあと、これらの道具を用いて約3分の曲を制作し、互いに発表した。電子部品をつなぐキットと、すぐに演奏できる製品が、音を探すための異なる入口になっていた。

この講座で興味深いのは、製品を先に覚えるのではなく、受講者自身の「こんな楽器があったら」という発想が出発点になっていることだ。楽器のアイデアを紹介する時間から、実際に音を鳴らして制作する時間へ。発想を言葉にすることと、耳で確かめることが連続する。思い描いた楽器と手元の道具を照らし合わせれば、何を操作したいのか、どんな音を重ねたいのかという問いが具体的になる。

一口に電子楽器と言っても、音への触れ方は異なる。パッドで演奏するkaossilator、短いフレーズを組むvolca、回路の部品をつなぐSynth Kit。指の動き、時間の並べ方、仕組みの組み合わせという違いが、同じ音楽づくりの場に現れる。約3分の曲をつくって発表するという到達点は、操作を試すだけで終わらず、自分の選んだ音を誰かに聴かせるところまでを含む。製品の説明が、受講者自身の表現へ接続する講座だった。

坂巻は2015年6月・8月・12月、自由大学の「D.I.Y. ミュージック」でlittleBitsのワークショップを実施した。電子楽器の企画に携わる立場から、音をつくる楽しさに触れる場へ加わった。製品を企画する人と使う人が同じ場で音に触れ、つくることと演奏することをつないでいく。楽器のアイデアを言葉にすることと、実際に鳴らした音を聴くこと。その往復を通して、自分の発想を音に変える楽しさと、他の人の音を聴く楽しさが交わる。