東京都立工芸高校 講義
素材を扱う技術と、形を考える感性が同じ教室にある。東京都立工芸高等学校は1907年に開校し、金属や木材、印刷など、社会の需要と結びついた専門教育を重ねてきた。坂巻は2011年2月19日に、同校で講義を行っている。
学校が公開する教育の特色では、ものづくりを通した感性と発想力の育成が掲げられる。現在のデザイン科は、ビジュアルコミュニケーションとプロダクトを二つの柱とする。ものづくりの基礎を高校から学ぶ環境に、電子楽器の商品企画を仕事にする実務家が加わった。
学校の教育方針にある「ものづくり」は、図案を描くことだけでなく、材料や加工の性質を理解し、実物へ移す学びと結びつく。手を動かすと、最初に描いた形だけでは決まらない条件に出会う。素材の厚さ、道具の扱い、工程の順序といった具体的な判断が、発想に制約を与え、ときには新しい選択肢を生む。専門高校という場の特徴は、このような制作の技能と表現を早い時期から接続する点にある。
製品の企画を仕事にする人が学校へ来ることは、制作物が教室の外でどのように使われるかを考える接点にもなる。実習の課題と、社会へ出る商品では、関わる人や求められる条件が異なるからだ。工芸高校は、素材を扱う技術を学ぶ場であると同時に、その技術を社会の需要へ結びつけてきた学校でもある。技術を身につけることと、その技術で誰に何を届けるかを考えること。その二つが接する教育の現場への登壇だった。
2011年2月19日、坂巻はものづくりの専門教育を担う東京都立工芸高校で講義を行った。ここで交わったのは、素材や制作を早い段階から学ぶ学校と、製品企画に携わる実務家だ。金属、家具、印刷といった分野の教育を社会の需要とともに育ててきた学校に、電子楽器を扱う仕事が加わる。大学に進んでから専門を学ぶ経路だけでなく、高校の段階にも、ものづくりの仕事と接する場が設けられていた。