東北文教大学 講義
新しい大学が歩み始めた時期に、学外の実務家が教室へ入る。坂巻は2011年6月23日、東北文教大学で講義を行った。2010年に開学した四年制大学が、二年目を迎えた時期の登壇だった。
大学の公式沿革によると、東北文教大学は2010年に人間科学部子ども教育学科を設置して開学した。同時に、山形短期大学は東北文教大学短期大学部へ改称している。新設された四年制大学と、従来の教育を受け継ぐ短期大学部が、同じ学園で歩みを進める時期だった。
大学の沿革では、幼児教育に関わる学びは、1967年に前身の短期大学へ設けられた学科までさかのぼる。新しい四年制大学の背後には、人の育ちを支える教育の蓄積があった。製品を考える仕事も、使う人の身体や理解、行為との関係を含む。道具をつくる実務家が、人を育てる学びを持つ大学へ招かれることには、工学やデザインの専門領域を越えて仕事を伝える接点がある。
ものづくりを専門にする人の仕事も、相手が誰かによって伝える入口が変わる。道具の仕組み、使う人の行為、製品が生まれるまでの判断は、それぞれ異なる関心から読むことができる。製品を企画する仕事を教育の場で紹介することは、完成した物の外側にいる人や選択へ目を向ける機会にもなる。同年には、東京都立工芸高校や芝浦工業大学でも講義を行った。東北文教大学への登壇とともに、ものづくりの実務を、専門や地域の異なる教育の現場へつなぐ活動を広げていた。
2011年6月23日の講義には、電子楽器の商品企画に携わる実務家として登壇した。開学から間もない大学へ、製品を企画する仕事を通じて関わる機会となった。教育の場は、デザインを専門に学ぶ学科だけではない。異なる専門の大学にも、学外の仕事が入る機会がある。山形の大学へ足を運んだこの講義も、ものづくりの仕事と教育の現場をつなぐ活動の一つとなった。