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kaossilator 2S

思いついた音を、その場だけの遊びで終わらせない。kaossilator 2Sは、手のひらで生まれたフレーズを、パソコンでの楽曲制作へつなぐシンセサイザーだ。2015年のNAMMショーで発表され、坂巻 匡彦はプロダクトマネジメントと商品企画を担当。指先の即興を録音し、重ね、持ち帰って編集する。小さな楽器の中に、曲づくりの入口とその先を用意した。

タッチ・パッドは横方向で音程、縦方向で音色を操作する。鍵盤の形に縛られず、なぞる動きで旋律を探し、触れる場所で響きを変える。150種類の音色、35種類のスケール、50種類のゲート・アルペジエーターを備え、シンセ、ベース、ドラムから音を選べる。音階とリズムの設定が演奏を支え、指の移動と音の変化を耳で結び付けていく。

中心となるのは、アンドゥ/リドゥに対応したループ・レコーダーだ。短いフレーズへ重ね録り(オーバーダブ)を続け、気に入らなければ戻して弾き直す。録音を完成させてから聴くのではなく、聴きながら次の演奏を決めていける。内蔵マイクとマイク入力も備え、声や別の楽器を同じループへ取り込める。音色の選択だけでなく、身の回りの音も制作の材料になる。

録った音は、個別のトラック、ミックス済みの音声、Ableton Liveセットとして書き出せる。Liveセットならループを各トラックへ配置した状態で開き、構成や響きをさらに練り直せる。Materialは各録音素材、2Mixは重ねた演奏をまとめた音声を残す形式だ。素材から編集を続けるか、その場で作ったまとまりを使うか。持ち出すデータを、次の作業に合わせて選べる。

単3形電池2本で動き、寸法は76×128×25mm。スピーカーも内蔵し、外出先で浮かんだフレーズをすぐに試せる。保存にはmicroSD/microSDHCカードを使い、付属のAbleton Live Liteで編集へ進める。机に向かう前に始めた音遊びが、そのまま制作の素材になる。携帯できることと、曲として育てられることを結び付けた一台だ。