092

kaossilator 2

指で生まれたフレーズへ、目の前の声を重ねる。kaossilator 2は、タッチ演奏と録音を一体化した手のひらサイズのシンセサイザーだ。坂巻は商品企画を担当。150種類のサウンドから音を選び、キーとスケールを設定してパッドをなぞる。指の動きが旋律と音色の変化になる。

ゲート・アルペジエーターでは発音の長さやスウィングを調整できる。2つの録音バンクはミュートとクロスフェードに対応し、異なるループの間を移り変われる。録って重ねる操作に、ふたつのフレーズを混ぜる操作が加わり、音を蓄積するだけでなく展開を作る余地が生まれる。

二つのバンクをクロスフェードする機能は、重ね録りで増やした音をどう展開するかという課題に応える。あるフレーズを鳴らしながら別のフレーズへ移れば、積み重ねたループを一度止めずに次の場面を作れる。ミュートによる切り替えと滑らかな移行では、同じ素材でも曲の流れが違って聴こえる。タッチ・パッドで音程を描く操作に加え、録音済みの時間をどう重ねるかも演奏者が選べるようになっている。

マイクからの録音は、この小さな楽器に周囲の環境を持ち込む。内蔵シンセだけでビートや旋律を作ることも、そこに人の声や楽器の音を足すこともできるからだ。画面やパッドの外で起きた出来事を取り込み、それを繰り返し聴きながら次の音を考える。録音を保存すれば、その場の演奏を後から聴き直すこともできる。音色を増やす拡張にとどまらず、素材をどこから集めるか、演奏をどこへ残すかまでを手のひらの中へ収めた構成である。

内蔵マイクや外部マイク入力で、歌声や楽器も録音可能。シンセのフレーズと周囲の音が、同じループの中へ入ってくる。保存にはmicroSD/microSDHCカードを使う。小さな画面の前だけで完結せず、そこにいる人の声や演奏を材料にできる。手のひらの楽器から、周囲の音を重ねる制作へ広がったモデルである。