KAOSS PAD KP3+
流れている音を、指の位置と動きで変形させる。KAOSS PAD KP3+は、タッチ・パッド式のエフェクターとサンプラーを組み合わせた機器だ。坂巻は商品企画を担当。150種類のエフェクトを備え、フィルターやディレイから、ルーパーやVinyl Breakまで、異なる音の変化を選べる。
パッドへ触れると複数のパラメーターが動き、音の加工そのものが演奏になる。4つのサンプル・バンクでは、取り込んだ音をループまたはワンショットで再生できる。元の楽曲に効果を加えることと、録った断片を新たに鳴らすことを、同じ操作面で行き来する。
ループとワンショットを選べるサンプル・バンクでは、録音した断片を継続的な伴奏にも、一度だけ差し込む音にもできる。流れていた曲の一部を取り出すと、その断片は元の時間の流れから離れ、新しい役割を持つ。エフェクトの選択とサンプルの再生が同じ機器にあることで、既存の音を加工する行為と、別の音を重ねて構成する行為を連続させられる。DJプレイの途中に、短い音楽を作る工程が入り込む。
Pad MotionとFX RELEASEは、手の動きと音の時間を単純な一対一の関係から広げる。記録した動きは繰り返し再生でき、指を離した後も効果の余韻を残せるからだ。演奏者が触れ続けなくても音に変化を与えられる一方、どこで始め、どこで終えるかは操作として残る。エフェクターを設定しておく装置から、その場で音の振る舞いを選ぶ楽器へ近づける。パッドの小さな移動を、フレーズ全体の変化へつなげる設計である。
Pad Motionは指の操作を記録し、その動きを再生する。FX RELEASEはパッドから手を離した後の効果音を減衰させ、音の変化をつなぐ。触れている時間だけでなく、動きを繰り返す時間や、指を離した後までが操作の対象だ。音の処理を瞬間の効果で終わらせず、フレーズの前後へ組み込める構成である。