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iKaossilator for Unicorn

好きなバンドの曲に、自分の指で触れてみる。iKaossilator for Unicornは、UNICORNとKORGによるiPhone向け音楽アプリだ。坂巻は商品企画を担当。阿部義晴のプロデュースと監修のもと、KAOSSILATORのタッチ演奏をバンドの楽曲や専用サウンドと結び付けた。

収録されたのは、「WAO!」「Feel So Moon」の素材を使ったループや、メンバーの演奏をもとにしたサウンド。既存のパートへ自分の演奏を加え、組み合わせを変えることでリミックスできる。耳になじんだ曲の断片が、触って並べ替えられる材料になる。聴くときとは別の距離で、楽曲の構成に近づける仕組みだ。

メンバーの演奏を使った専用サウンドは、一般的な楽器音のセットとは違う手掛かりを与える。知っている曲や演奏者の音があることで、最初に何を試すかを選びやすくなるからだ。その音を画面上で鳴らし、収録されたループへ重ねる時、楽曲は聴き終える完成品であると同時に、次の演奏の出発点にもなる。アーティストの音を借りながら、自分の時間の使い方を足していく体験だ。

楽曲素材とタッチ演奏の組み合わせには、ファン向けのコンテンツと音楽制作の道具が同居している。曲の断片を入れ替えるだけでなく、その上へ指の動きから生まれた音を加えられるため、聴き慣れた構成から少しずつ離れていける。専門的な編集画面を出発点にせず、曲への親しみを手掛かりに操作を覚える。それは、既存の音楽をもっと近くで聴く方法でもある。好きな曲のどの音へ反応していたのかを、演奏することで確かめられる。

作品としての音楽を、演奏に参加する入口へ展開したコラボレーションだった。公式告知ではライセンス契約終了に伴い、2014年8月31日に販売を終了すると案内している。特定のアーティストの音と操作の仕組みが出会った、当時のアプリとしての試み。曲を知っていることが、音で遊び始める手掛かりになる。