KAOSSILATOR PRO+
指で描くフレーズを重ね、ループの出し入れで曲を動かす。KAOSSILATOR PRO+は、タッチ・パッドを演奏面にしたシンセサイザーだ。坂巻は商品企画を担当。250種類のサウンド・プログラムと35種類のスケールを備え、使う音色と音階を選んでから、指の動きを旋律へ変える。
横方向で音程、縦方向で音色を変える操作が基本となる。ゲート・アルペジエーターで発音のタイミングにリズムを付ければ、なぞる動きと反復の規則が重なる。鍵盤の運指とは異なる経路で音へ触れ、音色の変化も含めたフレーズをそのまま録音できる。
キーとスケールをあらかじめ選ぶ仕組みは、指が移動する範囲を音楽の中の音程へ対応させる。どの位置を触れるとどんな音になるかを耳で確かめながら、旋律を描ける構成だ。音階の選択は準備に置き、演奏中は動きとタイミングへ集中する。縦方向の音色変化も同時に扱えるため、同じ音程を続ける間にも響きの表情を動かせる。二次元の平面に、音の高さと質感という異なる操作を重ねている。
四つのバンクへのループ録音は、その一筆の演奏を繰り返す時間へ変える。まず録ったフレーズを聴き、次の音を足し、別のバンクと組み合わせる。ひとつの演奏が、次に何を弾くかを判断する伴奏にもなる。外部入力を録音できるので、声や別の楽器もこの反復へ参加できる。内蔵音色の豊富さだけで完結せず、使う人が持ち込む音を同じ制作の流れへ組み込める点が、タッチ演奏を中心とした一台の表現を広げている。
4つのループ・バンクは最大16ビートの録音と重ね録りに対応し、外部入力も録音できる。シンセで弾いた音と別の音源を同じループへ取り込み、バンクを使い分けて展開を作る。演奏の蓄積が次の演奏の素材になる構成だ。短い時間を繰り返す中に、音を足し、引き、組み替える余白がある。