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FabCafe × THE PUBLIC「感覚と工学のアンサンブル」

楽器は、音が鳴る物であると同時に、身体が働きかける仕組みでもある。2013年9月1日、THE PUBLICとFabCafeの「感覚と工学のアンサンブル」が始まった。KORGの協力による第1回で、坂巻はモデレーターを務めている。

ゲストは音楽インターフェイスPocoPocoを研究する菊川裕也と、メディアアーティストの菅野創。トークに加えてPocoPocoの実演と解説、KORGのアナログ・シンセサイザーの展示が組まれた。見る、聞く、触れるという複数の入口から、楽器とものづくりの関係へ近づくプログラムだった。

実演とトークを組み合わせたプログラムは、道具の構想と、それが実際に動く様子を一緒に伝える。新しい音楽インターフェイスは、写真だけでは手の動きと音の関係を捉えにくい。開発した人が説明し、実際に動く様子を見ることで、発想の意図と、その発想が形になった結果を照らし合わせられる。会場に置かれるKORGのアナログ楽器も、異なる操作の仕組みを考えるための具体的な対象になる。

楽器の形は、音を鳴らす機能を包む外側だけではない。身体がどこへ触れ、どのように動き、その結果を何で確かめるかという関係を含んでいる。研究で生まれるインターフェイス、アーティストの制作、メーカーの楽器は、それぞれ別の条件からこの問題へ向かう。坂巻のモデレーターという立場は、三者の違いを消すのではなく、共通の議題の上で話せるようにする側にある。題名の「アンサンブル」は、音だけでなく、異なるつくり手の視点が並ぶ構成にも重なる。

主催者の案内が示す坂巻の仕事は、対話の進行だ。異なる制作背景を持つゲストの話を、音楽とものづくりという共通の議題へつなぐ。実演では、発想を動きや音と照らし合わせられる。楽器をつくる人の話を聞き、その仕組みが動くところを確かめる。感覚と工学を、抽象的な二つの領域のままにしない構成がある。PocoPocoの開発者や実演者としてではなく、坂巻はその対話を支える側に立った。