千葉大学 Asia Summer Design Workshop モデレーター
デザインの場には、答えを提示する人に加え、議論を進める人がいる。2014年7月14日から全5日間、坂巻は千葉大学のAsia Summer Design Workshopにモデレーターとして参加した。5日間の集中した取り組みに、場を進める役割で加わった。
同じ頃の千葉大学では、プロダクトデザイン/プロトタイピングの講義も担当していた。同大学の授業では、試作を通じた発見を毎週共有する取り組みも行っている。つくりながら考えることと、その考えを他者に伝えることの両方が、坂巻の教育活動にある。
講師が順序立てて知識を伝える時間と、参加者が異なる考えを持ち寄る時間では、場を支える仕事も変わる。モデレーターは、発言をつなぎ、論点を共有し、次に考える対象を見えやすくする立場だ。講師として知識を伝える活動に加え、参加者の取り組みを進める役割にも携わった。集中した期間のワークショップでは、制作する人だけでなく、話し合いの進行を担う人の存在も重要になる。
試作品は、こうした対話を考えるための身近な例でもある。同じ物を前にしても、使い方、見た目、実現方法など、参加者が見る部分は同じとは限らない。その違いを言葉にすることで、個人の中にあった考えを共有できる。坂巻の千葉大学での教育を扱う寄稿も、試作から得た発見を人へ伝える過程に触れている。制作物を介して意見を交わすことは、他者の見方を知り、自分の考えを練り直すきっかけになる。
夏のワークショップでは、複数の参加者が取り組む場を進めるモデレーターとして参加した。プロトタイピングは、考えを共有できる形へ変える方法の一つでもある。モデレーターという役割には、登壇して知識を伝えるだけでなく、複数の人が取り組む場の進行を担う側面がある。5日間の集中した催しに、実務家がどの位置から加わるか。坂巻の教育活動には、講師と進行役という異なる関わり方が並んでいた。