「Synth Kitは音のレゴ」KORG坂巻のミュージック・メイカー(2)
音づくりを深くすると操作は複雑になり、簡単にすると面白さが薄れてしまう。その悩みに、機能を分解して手に取れるようにするという答えを示したのがlittleBits x KORG Synth Kitだ。坂巻 匡彦が2014年7月23日に公開した連載第2回は、開発者の視点から、組み立てることと演奏することがつながる楽器の仕組みを紹介している。
キットを構成するのは12個のモジュール。シンセサイザーの機能を個別の部品へ分け、それらをつなぐことで音の流れをつくる。音源や鍵盤が一つの筐体に収まった楽器とは違い、どの機能を使い、どこへ置くかを、使い手自身が決められる。完成した操作パネルを覚えるのではなく、部品を加えたときの変化を耳で確かめながら、楽器の構成を理解していく。
最も単純な例は、Power、Oscillator、Speakerを順につなぐ構成だ。電源から発振器へ、そこからスピーカーへと信号が進み、サイレンのような音が出る。Keyboardを加えれば旋律を弾けるようになり、Delayを入れると反復する響きが生まれる。さらにFilterを加える。機能を一つずつ増やす道筋が、そのまま音づくりを学ぶ道筋になっている。
記事が示す「音のレゴ」という比喩は、自由に並べられる外観だけを指していない。つなぎ方によって異なる音をつくるという行為が中心にある。紹介されるReggie WattsやNullsleepの演奏は、小さく親しみやすい見た目が、表現の幅を限定しないことを伝える。初歩的な組み合わせから始めても、試し方を変えることで複雑な響きへ進んでいける。
この道具は、KORGとニューヨークのlittleBitsによる共同開発から生まれた。長い歴史を持つ日本の楽器メーカーと、若いスタートアップ。土地、言葉、文化、組織の規模が異なる両社の協働も、連載のもう一つの主題となる。第2回は音の仕組みをほどきながら、その仕組みを製品にするために必要だった出会いと開発の物語へ読者を導いていく。
掲載記事
「Synth Kitは音のレゴ」KORG坂巻のミュージック・メイカー(2)
元の掲載URL: https://media.dmm-make.com/item/1697/
記事: 坂巻 匡彦