MEDIA

Builders:高橋達也 — 自作シンセから生まれるおもしろさ

サイズ、ノブの数、価格。枠組みを決めても、楽器の面白さは試作の中で見つかる。Buildersの高橋達也インタビューでは、坂巻 匡彦が聞き手となり、monotronやvolcaの企画・開発を振り返る。企画を持ちかけた坂巻と、開発を担った高橋の対話だ。

monotronの開発では、製品の条件とシンセサイザーとしての楽しさを共有しながら進めた経緯が語られる。DUO/DELAYやvolcaの話題にも触れ、仕様を決めることと、試して音をつくることが往復する。高橋が面接に自作シンセを持参したエピソードも、そのものづくりの姿勢を伝える。

開発リーダーとしてのmonotronは、高橋にとって、アナログ回路のばらつきと安定生産、価格の条件を同時に扱う経験でもあった。試作が面白く鳴ることと、多くの人が手に取れる製品としてつくれることは、別の課題を含む。製品づくりの一連の過程を見た経験が、その後のvolcaの構想にもつながったと振り返っている。

坂巻が高橋に渡した企画には、設計側で決める余地が大きく残されていた。構想のすべてを固定すると、設計を進めて初めて見つかる無理や可能性を扱いにくい。音楽や操作の面白さを共有できる相手だからこそ、開発の途中で方向を変えられる条件をつくる。一方、高橋は音を想像しながら回路図を描く行為を重視する。全体を見渡して条件を定める企画と、信号の流れを一つずつ考える設計。その距離を往復しながら、仕様だけでは表し切れない魅力を探している。

高橋が回路図を描き続ける理由には、自分で音を想像しながら設計することで、新たな可能性を見つけられるという実感がある。企画から渡された条件だけでは、その発見は尽くせない。坂巻も、言葉で事前に定義できる範囲を超えた面白さを、開発に期待している。対話には、相手の専門性への信頼を保ちながら、一緒に製品をつくる二人の関係が表れている。

記事の保存版を読む — Internet Archive

記事の保存版 ↗

掲載記事

自作シンセを面接に持ち込んだ「ヤベーやつ」が込める、計画できないおもしろさ — 高橋達也

元の掲載URL: https://rdm.ne.jp/column/builders/21569

取材時期: 2013-08

記事: 土屋綾子(RandoM編集部)

撮影: 後藤武浩