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Builders:永木道子 — 楽器をつくるプロフェッショナルたち(聞き手)

入力端子を増やせば価格が上がり、操作子を増やせば筐体が変わる。録音機器を一つの製品へまとめる仕事には、こうした条件の調整がある。Buildersの永木道子インタビューで、坂巻 匡彦は聞き手として、KORGの録音機器開発をたどった。

DSS-1やSoundLinkから続く経歴は、Dシリーズ、MRシリーズ、DS-DAC-10へと広がる。印象に残る製品として挙がるMTRのD8では、入力数、つまみやボタン、筐体の大きさ、価格をどうまとめるかが課題だった。海外スタッフとのやり取りからは、使う人の要求を形にする具体的な検討が見える。

SoundLinkの操作面を検討した場面では、パネルに並べる要素を紙に描いて切り出し、配置を変えながら考えたという。大きなディスプレイや、本体と操作卓を分ける構成を、手で並べられる材料にして試した。後の製品へ技術や経験が受け継がれる過程を、完成品の機能一覧では見えない制作の手順から知ることができる。

対話は開発史にとどまらず、育児と仕事を続けるため、社内に前例のなかった在宅勤務を行った経験にも及ぶ。製品を成立させる条件と、つくり手が仕事を続けられる条件の両方が語られる点も、このインタビューの特徴だ。永木は使用者や音響の専門家から意見を集める際、一人の声に偏らないことを大切にしていた。技術への自信と、違う立場からの反応を受け取る姿勢が、道具を改良し続ける仕事を支えている。

DS-DAC-10に至る話では、録音したDSD音源の配信が始まり、聴く側のユーザーに技術が知られていった過程も語られる。録音機の開発で培ったものが、音楽を再生する道具へ広がる。使う人がどこにいて、どんな音源に触れているかを知ることが、新しい製品を考える契機になる。録音技術の歴史と、その技術を届ける相手の変化が重なる対話だ。

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掲載記事

レコーダーだけでなく女性エンジニアの道も切り拓いた“異端児” — 永木道子

元の掲載URL: http://rdm.ne.jp/column/builders/36361

取材時期: 2013-08

記事: 土屋綾子(RandoM編集部)

撮影: 後藤武浩