Builders:西島裕昭 — エンジニアリングへのこだわり
回路図や基板にも、美しさは宿る。Buildersの西島裕昭インタビューで、坂巻 匡彦はMS-20とMS-20 miniに携わった技術者の歩みを聞いた。形と機能の関係は、目に触れる外観だけでなく、製品の内部を組み上げる仕事にも及んでいる。
1977年のKORG入社からMS-20の開発、社外での仕事、1999年の復帰へ。西島は、回路図や基板、試作を洗練させる姿勢を語る。坂巻との対話は、設計したものを製品として使い手へ渡す責任と、ものをつくることへの関心を、具体的な開発経験からたどっていく。
開発の歩みには、アナログ回路だけでなく、DSPによる音響機器や、ソフトウェアのシンセサイザーへ取り組んだ経験も登場する。KORG Legacy Collectionにつながる初期の試みでは、興味を持つ社内の仲間と音を出す仕組みを試したという。その後、再びアナログの仕事へ向かい、三枝文夫とともにMS-20 miniの開発へ進む。技術の変化と、一人のつくり手の関心が交差する経歴だ。
西島が語る美しさには、他の人が読んで理解できる回路図という意味も含まれる。自分だけがわかればよい設計ではなく、情報の配置やつながりに目を配る。試作品も丁寧につくり、かつての実験基板を手元に残す姿勢は、仕事の途中で生まれたものを大切にする態度でもある。対話の中では、KORGが培ってきたアナログの知識を後輩へ渡したいという思いも語られた。製品を一台完成させることと、技術を次へ残すことが、同じものづくりの中にある。
幼い頃のものづくりを振り返る場面では、小学4年生のときに祖父からはんだ付けを、父から電気回路を教わったという。設計を続けたいという思いは、管理する立場へ移った際の葛藤にもつながった。職歴を並べるだけでは見えない、手を動かしてものをつくりたいという関心が、回路や試作へのこだわりを通して伝わってくる。
掲載記事
エンジニアリングへの強いこだわり。コルグに“戻ってきた”男の信条 — 西島裕昭
元の掲載URL: https://rdm.ne.jp/column/builders/25550
取材時期: 2013-08
記事: 土屋綾子(RandoM編集部)
撮影: 後藤武浩